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3DGS|360度カメラを室内で試して、XGRIDSを選んだ理由

3DGS|360度カメラを室内で試して、XGRIDSを選んだ理由

2026年08月27日

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弊社では、3D Gaussian Splatting(以下、3DGS)を活用した空間制作サービスを提供しています。
今回は、室内空間を継続的に3DGS化する方法を検討したときの話です。候補に挙がったのは、手軽な360度カメラと、3DGS向けの専用機材でした。
価格だけを見れば、360度カメラはとても魅力的です。数万円前後から導入でき、持ち運びやすく、撮影も難しくありません。一方、XGRIDSのPortalCamは75万円から210万円ほど。私たちも最初は、できることなら360度カメラを勧めたいと考えていました。
ところが、実際に住宅の室内で撮影と処理を繰り返した結果、今回の用途では360度カメラを諦めることにしました。理由は、住宅のような狭い空間では、近距離撮影に由来する弱点が想像以上に出やすかったからです。

360度カメラでも3DGSは作れる

最初にお伝えしておきたいのは、360度カメラでも3DGS自体は作れるということです。全天球を一度に撮影できるため、短時間で空間全体を記録できます。屋外や広い場所、細部よりも雰囲気や配置を見せたい用途では、価格と手軽さが大きな利点になります。
だからこそ、今回も有力な候補として検証しました。問題は「作れるかどうか」ではなく、「住宅の室内を継続して撮影し、物件紹介に使える品質を安定して出せるかどうか」でした。

DJI Osmo 360で室内を撮影した

検証に使用したのはDJI Osmo 360です。

室内を8Kで撮影し、露出とホワイトバランスを固定。ゆっくり歩きながら空間を複数回撮影しました。その動画を複数方向の透視投影画像へ展開し、COLMAPでカメラ位置を推定してから3DGSを学習させています。
処理そのものは成功しました。カメラ位置を推定でき、ビューア内を移動できる3DGS空間も生成できました。ところが、近づいて確認すると、窓枠や開口部の輪郭がにじみ、手前にある物の周囲ではガウシアンが針のように伸びていました。

最初の結果は、空間の形が大きく崩れた

下の画像は、標準的な条件で学習を進めた途中の表示です。部屋らしい色や配置は見えるものの、壁や家具の境界が溶け、物件紹介に使える状態ではありませんでした。

標準条件で6,000回学習した結果。空間は生成できたものの、壁や家具の輪郭が大きくにじみました。
単純にピントが合っていないのではありません。同じ場所の見え方が入力画像ごとに少しずつずれ、3DGSが一つの形としてまとめ切れていないような崩れ方でした。

入力画像と学習条件を変えてみた

最初の結果だけで諦めたわけではありません。撮影者が大きく写り込む方向を除き、ブレや観測不足の画像も外しました。さらに、学習解像度や学習回数などの条件を変えながら比較しました。
画像を選別したモデルでは、標準条件より空間の連続性が改善しました。評価値もPSNR 18.48から19.73まで上がっています。

写り込みの多い方向を除外し、10,000回学習した結果。全体の連続性は改善しましたが、細部のにじみは残りました。
さらに学習を30,000回まで増やし、実際のカメラ姿勢からレンダリングしました。それでも、左側の開口部や壁際の細い構造は二重化し、輪郭が引き伸ばされたように見えます。

30,000回学習後の実カメラ姿勢レンダリング。数値は改善しても、開口部や細い構造の崩れは目視で確認できました。
入力を24地点まで減らすとPSNRは16.58へ低下しました。80地点へ増やすと空間の密度は改善しましたが、見せたい品質には届きませんでした。画像の増減や学習回数だけで解決できる問題ではなかったのです。

狭い空間では、近距離のずれが効いてくる

今回、最も大きな要因だと考えたのは、室内にはカメラに近い被写体が多いことです。
360度カメラは、複数のレンズで撮った映像をつないで全天球画像を作ります。遠くの被写体は比較的つなぎやすい一方、近くの家具や壁、窓枠、開口部は、レンズごとの見え方の差が大きくなります。DJIの公式仕様でも、レンズから約75cmより近い被写体はスティッチ品質の影響を受けやすいとされています。
屋外や広い店舗なら、カメラと被写体の距離を取りやすいでしょう。しかし住宅では、壁や家具が常に近くにあります。廊下、洗面所、トイレ、収納など、撮影者が距離を取れない場所も少なくありません。そこで生じるわずかなスティッチのずれや、フレームごとの投影の違いが、3DGSでは輪郭のにじみや細長いガウシアンとして現れたと考えています。

8Kでも、一方向に使える情報量は8Kではない

もう一つの制約は解像度です。360度カメラの8Kは、全天球全体を合わせた解像度です。ある一方向だけを切り出すと、実際に使える画素数は大きく減ります。
空間の雰囲気や家具の配置を見るには十分でも、窓枠、設備、文字、素材感といった細部を見せる用途では不足が出やすくなります。撮影時間の短さは魅力ですが、狭い室内を細部まで安定して見せたいという今回の要件とは、相性がよくありませんでした。

今回の用途では、360度カメラを見送った

今回重視したのは、特定の撮影者や条件に依存せず、室内の物件紹介として一定の品質を継続して出せることでした。
単発の検証であれば、入力画像を選び直したり、処理条件を変えたりしながら品質を詰めることができます。しかし実際の運用では、撮影する人、部屋の広さ、家具の配置、明るさなどが毎回変わります。そのたびに結果が大きく揺れ、画像の選別、再処理、目視確認、場合によっては再撮影まで必要になる方法は、長く続けるには負担が大きくなります。機材が安くても、後工程が増えれば全体のコストは積み上がります。
そのため今回は、360度カメラによる3DGS制作を見送り、XGRIDSを提案しました。高価だから高品質だと決めたのではありません。室内空間を継続的に扱う前提では、撮影しやすさだけでなく、出力品質の安定性と確認工数まで含めて判断する必要があると考えたからです。

360度カメラが向いている用途もある

今回の結論は、「360度カメラは3DGSに使えない」という意味ではありません。屋外や広い空間、カメラと被写体の距離を取れる場所、細部よりも雰囲気や配置を伝えたい用途では、360度カメラの手軽さは大きな強みになります。
標準的な物件は360度写真ツアー、モデルハウスや注力物件は3DGSという使い分けも現実的です。大切なのは、価格やスペックだけで機材を決めるのではなく、撮影する空間と、見せたい品質、継続時の作業まで含めて選ぶことだと思います。

検証して分かったこと

360度カメラは、広い空間を短時間で記録するには優れた機材です。しかし今回のような住宅の室内では、近距離のスティッチずれと、一方向に使える実効解像度が品質の壁になりました。
安価な方法を採用できなかったのは残念です。それでも、実際に撮影し、入力や学習条件を変えて検証したからこそ、本格的な運用を始める前に「今回は向いていない」と判断できました。

検証条件と主な実測値

機材:DJI Osmo 360 入力:8K全天球動画 処理:透視投影画像への展開、COLMAPによる姿勢推定、3DGS学習 調整前:PSNR 18.4820、SSIM 0.7542、L1 0.0791 選別・学習方法の調整後:PSNR平均19.7331、L1 0.06598 学習画像777枚、評価画像111枚 学習時間16分01秒、762,141ガウシアン、PLY約172MB 24地点版:288画像の姿勢推定に成功、再投影誤差0.903px、PSNR 16.5829 球面カメラ直接方式:PSNR 14.5159 透視投影方式:PSNR 19.1288
なお、今回の検証は、すべての360度カメラとXGRIDSを同一条件で比較したものではありません。DJI Osmo 360を使った今回の撮影・処理条件において、狭い室内で求める品質と運用再現性に届かなかったという結果です。
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3DGSの導入検討・機材選定のご相談を承っています。


撮影環境や運用条件を伺い、用途に合った方法をご提案します。

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